2019.11.18
大阪城がそびえたつ広場のすぐそば大阪歴史博物館にて、特別展「勝矢コレクション刀装具受贈記念 決定版・刀装具鑑賞入門」が開催されています。昭和を代表する刀装具コレクター・刀装具研究者である勝矢俊一氏(1895~1980)のコレクションであった刀装具類の内、同博物館がご遺族より寄贈された927点の中から選りすぐりの約200点が展示されています。また大阪市無形文化財保持者・阪井俊政氏の作品を紹介する「阪井俊政の刀装具」コーナーも設けられており、この阪井氏が所蔵されていた江戸時代の名工高橋正次のグリ彫りの揃い金具を日本杢目金研究所に寄贈いただいたご縁もあり、今回同博物館に訪問してきましたのでご紹介します。
200点にも及ぶ刀装具が一堂に展示される機会はなかなか無く、また、「鑑賞入門」展となっている通り「刀装具とは?」という切り口で、刀の各部位についての丁寧な解説はもちろんですが様々な角度から刀装具を分類し解説が付けられています。今回の特別展示を企画された学芸員の内藤直子さんにもお話をお伺いできましたが、研究者である勝矢氏がこのような分類毎にコレクションしていたであろうと推測し、再構成され展示されたとのことでした。
鉄や銅といった素材別の紹介や、モチーフとなった図柄に込められた意味合いを読み解くコーナー、そして江戸時代に日本の各地域に点在した鐔工をその地域の作風毎に紹介した中には、江戸の代表として高橋興次が取り上げられ、日本杢目金研究所が所蔵しているものと同様のグリ彫りの鐔が展示されています。
江戸時代、それぞれの藩の武士の需要に応えるため、おかかえの鐔工も存在するなど、各地域毎に技術やデザイン力が発展し様々な特徴ある鐔が制作されるようになりました。
鐔はご存知の通り、刀に装着された時には表と裏の両面が見えるため、それぞれにデザインが施されています。鑑賞者にそれがよくわかるように工夫された展示は学芸員の内藤さん自らの創意工夫された展示方法とのことでした。鐔の表と裏の図柄を見ることで、なるほどとその意味が分かる江戸時代の職人の洒落にあふれた作品の展示など、とにかく小さな刀装具にギュッと詰め込まれ、施された見事な装飾は見飽きることがないような素晴らしいものばかりです。
同展は12月1日(日)まで開催されていますので、ぜひお近くの皆さんはお出かけされてはいかがでしょうか。